デジカメのラチチュード

ここで書いてあること
1.プリントをするためにはネガフィルムがもっとも広い範囲の色を発色できる。
2.デジカメは、オーバー(強い明るい色)に極端に弱いので、フラッシュを使うときは、
2メートルほどの距離をおいて撮影しないと、すぐに、白とびしてしまう。

 

「ラチチュード」の日本語を探したのですが、上手に訳した日本語がありませんでした。
Latitudeというのは、「一つの画像の一番明るいところと一番暗いところの幅」 の事です。
日本でもそのまま、カタカナで使っているようなので、ここでも、「ラチチュード」にします。

上のマンハッタンの写真を見てください。
この画像の一番明るいところは、エンパイヤ・ステートピルで、一番暗いところは、左下のビルの
側面になります。
このように一つの画面で、一番明るいところと一番暗いところ差=幅が「ラチチュード」なのです。

実際に撮影されて事がある方は、実感できるでしょうが、実物を自然光で見ながら撮影し、
これをプリントすると、きわめて平坦な感激のない絵になる事が多いのです。
そんな中で、 撮影者はフィルムとレンズの特性を熟知した上で、自然光を利用して
自分が利用できるギリギリの明るさと暗さの幅を精一杯に使い切って、表現しょうとします。
ネガフィルムを使うとき、ポジフィルムを使うとき、デジカメを使うとき、それぞれの場面で、
どこまでの暗さがでるか、どこまでの明るさを押さえ込めるか、そういう判断をしながら撮影します。
これが ラチチュードの問題です。

一般論としては、このラチチュードが広いほど、表現力が増すわけです。
もっと明るいものも、もっと暗いものも 一つの画像の中に両立できるからです。


上の写真で言うと、もし、ラチチュードが暗いほうに狭いと、ビルの壁は真っ黒になって、ベターっとした
写真になってしまいます。

また、反対に、明るい方にラチチュウードが狭いと、太陽に輝くビルは、真っ白になって、ビルの質感は
まったく見えなくなってしまいます。これも安っぽい写真になってしまいますね。
撮影者は、どこまでの明るさと暗さを表現できるのか、絶えず考えています。


ミノルタのデジタルノウハウによると、
人間の目を10とすると、フィルムは5、CCDは2のラチチュードを持つと 言われています。

つまり、フィルムでも、人間の見える明るさの半分の範囲をカバーできるに過ぎません。
コンパクトカメラのCCDは、フィルムの半分ほどですので、肉眼の20%くらいなのでしょうか。

CCDは、先ほど説明したように、その大きさ自体が35mmフィルムより小さい上に、指の先のツメのような
大きさの上に、200万個、600万個、という小さなレンズとカラーフィルターを乗せて自然光を受光するわけです。
そもそもの光の総量が少ない上に、CCDは、色を受光できないので、三分の一づつのCCDを3色の色の
カラーフィルターをつけて、それぞれの光の強弱をカラーに組みなおすわけですから、
3つの基本のカラーの情報量は、フィルムに比べて、さらに、三分の一になっています。
光の情報量が少ないのですから、できあがる絵の情報量が少ないのは当然です。
この限られた光の情報をどこまで綺麗に作画するかは、イメージプロセッサーのプログラムによるわけです。
つまり、デジカメは、人間の目の五分の一、フィルムの半分以下の範囲でしか、明るいところと暗いところの
範囲を受光できないのですが、これをコンピューターのプログラムで、拡大しているわけです。

コンパクトデジカメでは、とくにこの傾向が強く、まさに小指のツメほどの大きさのCCDの上に、200万個、
400万個の受光センサーを載せているので、一つづつのセンサーがどれほど小さなものか、想像が
つくと思います。
そのため、顔のひたいの部分が白くとんでいたり、色の幅が極端に少なくなったりするわけです。

ネガフィルム・ポジフィルム・デジタルカメラ
ミノルタのサイトに言う、人間の目:10、フィルム:5、CCD:2、という比喩は分かりやすいですが、
もちろん大まかなものです。
また、デジタルのCCDでの受光可能な範囲は、正確には、「ダイナミックレンジ」と呼ばれます。

さらに、フィルムの中でも、いろいろな種類があり、そのラチチュードの広さも違っています。
どのような広さで画像がプリントできるのかと見るために、同じ条件で撮影すると、大体次のような
結果になります。

種類
アンダー(露出不足)暗い
オーバー(フラッシュなどで明るすぎ)
ネガフィルム
−3
 +4
ポジフィルム
-1.5
+2.5
デジタルカメラ
-4
+1

(注意) 実際に明暗の範囲と決めることは面倒な作業です。
ネガフィルムはプリントを前提にしたフィルムなので、ネガフィルム自体でもラチチュードが広い上に、
これをプリントする技術も高度に発達しているため、さらにプリントにするとかなりの「補正」が可能です。
ポジフィルムは、本来「投影」を前提に開発されているため、白も黒も作られていてその間に色を再現するので
プリント用に開発されているネガフィルムより狭い範囲でしか色は発色されない。
デジタルでは、CCD自体の限界の他、ネガフィルムでいう「補正」にあたる、イメージプロセッサーの処理の
上手さが、決め手になってくる。

ただし、一般論としては、次のように言えるのです。
1.プリントを前提とし、最高の画質のためには、ネガフィルムが最高である。
2.デジタルでは、アンダーがわは、かなりの発色が可能だが、オーバーでは、ちょっとしたことで
色が飛んでしまう。これは、ポジフィルムよりもシビヤーなので、デジタルでフラッシュを使うときは、
2メールほどの距離をおいて撮影したほうがよい。

 

以上のような「ラチチュード」という事をおさらいした上で、下の写真を鑑賞してみます。
この写真では、逆光になっているサインが暗さの下から
ちょっと上になり、空は、明るさの上限からちょっと下で、
ラチチュードの範囲では、余裕の配色になっています。
それが見る人には、「無理のない安心できる」写真と映るわけです。

もし、これがもっと狭いラチチュードだと、暗いサインは黒くなって
読めず、背景の空は、白飛びして真っ白になってしまうわけです。

 

 


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