アメリカでのビデオ・ライフ 2008年版

 

ゴチャゴチャと聞きたくない。


2008年度、 今買うなら、
どのようなビデオカメラを買ったら良いのかだけを教えてくれ。

実は、2007年の段階ですと、ソニーのHDカムコーダー(ハンディーカム)を買えば良いでしょう、っと言えました。
2007年版のアメリカでのビデオ・ライフ ガイド。

しかし、2008年に入って、市場は混乱しています。過渡期とも言えます。

これは2007年での解説でもお勧めしていたので、その継続になりますが。
しいて言えば、
1. SDカードを使ったパナソニックのHDカムコーダー
または
2.ミニDVを使った、ソニーのHDカムコーダー(ハンディーカム=ソニーの商品名)
が良いと思います。
3.小さい、という事にこだわって、何時でも持ち歩きたい、という方は
サンヨーの片手で持てるHDカムコーダー(SDカード)

ソニーの小さなHDカムコーダー(ハンディカム)(メモリー・スティックカード)
も良いと思います。

ちなみに、画質には妥協はしたくない、という方は、ソニーのミニDVに録画するHDカムコーダーがお勧めです。


他の機種に関してですが、
HDのカムコーダー以外は、予算に限りがある、という場合以外ちょっと考えられません。
さらに、HDカムコーダーの中でも、その記録媒体によって、良し悪しがあります。

ハードディスク内臓で何十時間録画できる、 という機種が多数ありますが、お勧めできません。
ハードディスクというのはコンピューターのハードディスクと同じく絶えず中では回転しているので、不安定です。
一旦クラッシュするとそれまでの、何十時間分の思い出がすべて駄目になるわけで、危険が大きすぎます。
パナソニックやソニーのサイトにも、使用説明書にも、ハードディスクは故障の可能性があるので、
大切な画像はDVDにバックアップを取るように、と注意書きがありますが、 画像はみんな大切じゃ、ないですか?
バックアップが面倒。一々カムコーダーをコンピューターに繋いで、DVDに焼きなおさないといけない。
大抵の人は、一杯になるまで撮りっ放しで、これは、HDDの不安定性から言うと怖いです。
そもそも、何十時間も撮影することがあるのか? それを見るのに、何十時間も掛かるわけで・・。

 

ミニDVD(8cmDVD)は、絶対にお勧めしません。

あまりに多くの人が「ファイナライズ」の意味を知らずに、その重要性も意識してない。
これは怖いです。もし、ファイナライズしない万で、自分のカムコーダーだけで楽しんで、
数年後にそのカムコーダーが壊れると、その画像は一切見れないまま全部無くなってしまいます。
旅行中にこのミニDVDを交換するのに、どうしても、DVDの記録面を触るので、油や汚れで不安定になります。
この汚れでファイナライズもできなくなると、どうしようもないです。

 

結局残るのは、SDカード(または、MSカード)の録画するタイプか、従来のミニDVテープに録画するタイプです。


なんで2008年に入って、かつてのソニーのミニDVテープに録画するHDタイプ以外のモデルが出てきたのでしょうか?

これまでの大きな流れは:
2005年以前 - アナログ規格の画質での緑画(VHS,VHS−C,8mm)
2006年 − スタンダードモードのデジタル撮影のカムコーダー(記録媒体が8mmから、デジタル8、ミニDVテープに移行)。
2007年 − SDデジタルからハイ・デフィニッション・デジタル(日本では、ハイビジョンという呼ぶ)モードに移行した。
2008年 − HDから、AVCHDへ移行した。
つまり、
画像の記録方式は、
アナログ >デジタルSD(スタンダードモード) > デジタルHD(ハイディニッション) > AVCHD というHDという高画質で決定。

画像を記録する媒体(メディア)は、アナログ時代の VHS,VHS−C,8mmテープから、デジタル時代になり、
デジタル8> ミニDVテープ > SDカード、メモリースティック、8cmDVD,ハードディスク、と多様化。

民生用ビデオの変化
録画方式
主な記録媒体
2005以前
アナログ撮影
VHS, VHS-C, 8mm, Hi8
 
2006年
デジタル
スタンダードモード
デジタル8、ミニDVテープ
2007年
HDモード
ミニDVテープ
ソニーの民生用HDカムコーダーが流行
2008年
AVCHD
SDカード、MSカード、8cmDVD,ハードディスク
HDTV、ブルーレーDVDの浸透

これは、営業用(プロ仕様)の現場でも同じで、
かつてのアナログ撮影 > SDモードでもデジタル撮影 > HDモードでのデジタル撮影
という流れになっています。

 

このような流れの底流は、できるだけ綺麗な画像を手軽に、という事です。
1.できるだけ綺麗な画像
   HD(日本語のハイビジョン)画像は一コマだけでも今までの画像の4〜5倍の情報量があります。
2.できるだけ手軽に
   この大きな情報を手のひらに入るような小さな機材に収めることができるようにしないといけない。

この二つをどうかね合せるのか、これが各メーカーの宿題でした。



具体的には、2007年のサイトに書いたように、以下のような違いが従来の動画とHDとの間にあります。

では、その「ハイビジョン・カメラ」は、どのように”高画質”なのでしょうか?
メーカーが公表する以下のスペック表を見てください。


2行目にある、1080/60i とか、480/60i というのは、1080ビクセルや70ピクセルの画像を一秒間に60コマで
送ります、という事です。つまり、一秒間でのコマ数は同じく60コマでした。

そうすると、1つの画像の大きさが画質を決定します。画像の大きさというのは、情報量の大きさです。
画像の大きさはの単位は画素数ですが、HDVでは、1440x1080 ですが、通常のDVでは、720x480 です。
これはどういう事でしょうか?


一こまを1440x1080ビクセルで、撮影した場合と、720x480ピクセルで撮影した場合を比べた場合、
表面積としては、4.5倍の差があります。そこで、簡単に言うと(簡単すぎますが)、ハイビジョンは、通常の画像の
4.5倍も高画質である、4.5倍もの情報量を記録できる、という事です。
これは、数字上だけでなく、実際に画像を見ると、ハイビジョンの画像は、驚異的に綺麗です。


【できるだけ綺麗な画像で】
従来の画質を飛び出して、それまではプロの映像用だったHDモードを民生用の小さな機械で撮れるようにした、
これが2006年から2007年の歴史的な位置です。画期的な事で、もう、以前の画質に戻る事は無いでしょう。

【手軽に】
2007年から2008年に入って、今度は、その綺麗な画像を、どうやってコンパクトに記録するか、
という競争になります。
従来に比べて情報量が飛躍的に増えたため、
これをどうやって小型のメディア(記録媒体)に保存するのか、が 各メーカーの研究課題になりました。
ソニーは、まず、ミニDVテープという「テープ」に収める方向で成功しました。これがHDのDV方式です。
テープというのは、薄いモノを長くまけるので、総表面積はメモリーカード比べて
格段に書き込むことのできる場所が大きい訳です。
そして、ミニDVテープは小さいので、フルサイズのDVDや8cmDVDに比べても小型化ができました。

ところが、テープには短所があります。
1.テープを回すためには、モーターや、ヘッドなどの稼動システムが必要で、
 これでは、電気消費も大きく、小型化にも限界がある。
2.テープというプラスティックの上に磁気を吹きかけた構造は劣化が進む。
  それを読む金属ヘッドも磨耗、汚れが生じる。
3.稼動中の衝撃に弱い、テープ巻取りに手間がかかり、瞬時に中間の場所にアクセルできない・・などなど。

そこで、動く部分がなく、小さい、という事ですでに、デジカメに使われているメモリーカード(SDカードやMSカード)に
書き込もう、 というのが当然の流れになってきました。
パナソニックが2006年から発売を始めたSDカードに書き込む方式などです。

小型のメモリーカードに書き込む、となると、保存する債に、情報量を小さくしないといけません。
そこで、考えられたのが、画像情報の「圧縮」、という事です。
つまり、布団をギューっと小さくして押入れに入れるようなものです。
画像を圧縮して保存するという技術は、ほとんどのデジカメラで使われているJpeg(ジェイペグ)という方式で
かなり確立された技術としてありました。
動画(映画)は、、いくらハイビジョンだ高画質だ、と言っても、所詮は、静止画を早く見せる、という基本に変りはありません。
本の下隅に書かれたパラパラ漫画の高級版です。
そこで、動画の高圧縮も基本的には、静止画の圧縮に近い発想で行われました。
これはソニーがHD画像をミニDVテープに記録する際に使ったDVフォーマットで、Mpeg2という方式のひとつです。

例えば、音楽の部分を抜きにして考えても、640×480ピクセル、24bitカラーの静止画は1枚900KBになりますが、
これをJPEG圧縮など用いることで、1枚90KB程度まで縮小することができます。
一秒間に30コマの動画(30fps)だとすると、毎秒27MBから2.7MBまで容量を減らすことができます。
それでも、一時間だと、3600秒x2.7mb=9.7GBになるので、一枚のDVDにも収まりません。

実際には、音の部分などが入るので、さらに大きなファイルになります。

ところが、メモリーカードにHDとい高画質を保存する、という難題のためには、
HDという高画質のために、 情報量は格段に大きいのに、
メモリーカードに 保存するためには、情報量はより小さいものでないいけない、

そうすると、これを解決するには、さらなる「高圧縮」 以外に無い。
つまり、より大きな情報を、より小さく保存するためには、より高い圧縮技術が必要だ、という事です。
ところが、圧縮を掛ければ掛けるほど、それを戻したときの画質は劣化せざるを得ません。
そのバランスをとるために、利用されたのが、Mpeg4という、本来は動画の通信技術の為に開発された技術でした。
動画を通信で送るためにはどうしたらよいか、という事で開発されていたので、高圧縮には向いていましたが、
画質の犠牲にしてまで転送速度を優先する、という難点がありました。
そこで、高圧縮という部分は、この従来のMpeg4技術によりながらも、
画質の劣化をできるだけ抑えた形での圧縮技術が必要となり、
この高品位の画質を高圧縮して、しかも、画像劣化がすくない、そういう圧縮方式をつくりました。
誰が作った、というと、ソニーとパナソニックです。
これが、AVCHDという技術で、 これからのカムコーダーの主流はこのAVCHD技術を使ったカメラだ、という事です。

これで、スタンダード画像 > HD(ハイビジョン)画像 > AVCHD という 流れがお分かり頂けたと思います。

AVCHDというのはどうやって、更なる圧縮を可能にしたのでしょうか?
それは、ソニーのDVフォーマットが使っていたMpeg2フォーマットが、各それぞれのコマの画像を縮小することを
主眼にしたのに対して、AVCHDでは、そのコマの前後のコマの画像も比較対照に加えて、不要なコマの
情報を減らして行ったのです。
単純な例で言うと、

これが画像の一コマだとすると、空の部分の青、飛行機の部分の白には、かなり似た色が多くあります。
そこで、この比較的似た色同士を隣りあわせで比較して、色の情報を少なくすることができます。
人間の目では識別できない範囲から始まって、どこまでを、だいたい同じだから・・とまとめるか、で
圧縮率も違ってきます。これが静止画の場合のJpegという技術の基本です。

動画の場合、この一枚一枚の圧縮のほかに、さらに、そのコマの前後の関係から両隣のコマの情報を減らそうとします。
たとえば、上の画像で主人公が動くとすると、背景の飛行機は動かないわけで、その場合に、次のコマには
前のコマとの違い分だけ(主に主人公が動いたという情報のみ)を、時間経過の情報と共に保存すれば、
動きのある動画としては、無理なく見え、しかも、情報は少なくて済みます。
考えて見ると、これは、日本のアニメなのではすでに使われていた技法ですね。

Mpeg2は、もともと高品位の画質を維持しつつ、どうやって縮小しようか、という発想でしたが、
動画の転送方法を元に開発されたMpeg4では、さらにスマートな圧縮方法を考えました。


下の表がこのMpeg4という方式で動画を圧縮した場合の圧縮率を示しています。
如何に高圧縮になっているか、がお分かりいただけると思います。




(c)岡山理科大学。上記資料はこのサイトからお借りいたしました。


 

このようにして、2008年にビデオカメラを買うとなると、
AVCHD方式のカムコーダーになると思います。
AVCHDの詳しい説明は、ソニーのこのサイトが良いです。

それ以外には、安いスタンダードモードのミニDVテープモデルと、ソニーのHD方式があります。
つまり、2008年では、市場に三つの大きな録画方式の違ったカメラがあります。
1.スタンダードモードのミニDVテープを使うもの。
2.HDモードのミニDVテープを使うもの。ソニーが主。
3.AVCHD方式で、記録媒体は、SDカード(パナソニック)、メモリー・スティック(ソニー)、8cmDVD、ハードディスク。

AVCHD方式で録画したDVDは、今までのDVDプレーヤーでは再生できません!
つまり、新しいDVDプレーヤーが必要となります。
どんどん、どんどんっと時代は変って行って、もう数年雨のDVDプレーヤーでは、
新しく買ったカムコーダーで録画して画像をを再生できないのです。

どうして、AVCHSのカムコーダーがSDカードや、MSカードに録画するのに、DVDプレーヤーが必要なのか?
それは、バックアップ(=保存)にDVDを使うからです。
SDカードで録画 >一杯になる >DVDにコピーする(保存する) >SDカードを消去し又使う。
これは、今録画中のSDカードを再生や、編集に使った場合、万が一事故が起こったときに
今までの画像がすべて見れなくなっていまう危険を防ぐ方法でもあります。

つまり、これからの動画撮影は:
ADVHD方式の録画カムコーダー >SDカードやMSカードに録画する >DVDにバックアップ 
> そのDVDをAVCHD対応のプレーヤーで鑑賞 >SD(MS)カードを消去して再び使う 

こういう流れになります。

この際に、バックアップ(保存)に使われるDVDは、録画に使われるカードが4GBを超えると、
もう通常のDVDでは対応できないので、ブルーレイという新しい規格のDVDが必要になります。
もし、ハードデスクに録画する方式のAVCHDカメラを買ってしまうと、さらに、このバックアップ用に
何十ギガバイトjのデータをDVDに焼けるだけの強力なコンピューターまで必要になります。

 

ここでお気づきのように、子供の成長を録画したいがために、新しいビデオを買うと:
1.テープを使わずに録画する、AVCHDという新しい規格である。
2.新しいDVDプレーヤーがないと、再生できない。(カメラをTVにケーブルでつないて見ることはできる)
3.将来のために保存するためには、新しいDVD方式である、ブルーレイがないと一枚のDVDには収まらない。
4.録画した画面の綺麗さを楽しむためには、HD(日本語でいうハイビジョン)のTVがないといけない。
5.画像を編集するとなると、かなり大きめのHDD容量と最新のx2コアのPCでないとでいない。
さらに、
6.友人・知人に画像を送ろうとすると、相手のシステムがわからないので、スタンダードモードに落として、
(ダウンコンバーティング)通常のDVDビデオとして送らないと相手は見れないかもしれない。

つまり、2008年に入って、
AVCHDカムコーダー
ブルーレーDVD
AVCHD対応のDVDプレーヤー
HDのテレビ
それに、強力なコンピューター、
高速なインターネット
が、無いと、赤ちゃんの画像や結婚式も
十分に楽しめない、という、なんとも、凄い時代に突入してしまいました。

これが各企業の狙いでもあります。いっぱいお金を使って欲しいわけですね。
ソニーの場合。
パナソニックの場合。

このような民生品の現場と共に、撮影側、それを放送するTV局側でも、このような
アナログ > スタンダードサイズ・デジタル >HDデジタル
という流れになっています。

 

数年前までは、楽でしたね。

2007年版のアメリカでのビデオ・ライフ ガイド。

 

 

 

蛇足:興味のある方のみお読み下さい。


AVCHDの開発者のメインであったソニーのエンジニアが、AVCHDという規格の誕生についての
インタビューに答えて次のように言っている。

「最終的にはBlu-rayですべての互換性を持たせようというのが、この規格の柱なんです。 」

 「ディスクを使い始めた以上は、テープと違ってビデオカメラがスタンドアロンで完結する時代は終わっていると思います。
家庭の中で、ステーショナル機器との接続というのがマスト。ACVHDは、Bru-lay機器との親和性がポイントになります。」

このサイトの著者が言うように
半永久的にAVCHD記録DVDの再生をサポートし続けなければならないう重荷を自ら背負うという意味でもある。
ソニーと松下以外のメーカーがいつまでライセンスフィーを払い続けてこれのサポートを継続するかは、未知数だ。
というのは、2008年の段階でも妥当すると思う。

ただ、AVCHDという規格での録画が実際に記録されるのは、メモリーカード(SDやMS)であり、ブルーレイなしにも
自立できる方式である。
ソニーの思惑通りに行くのか、パナソニックはどう出るのか、他のメーカーの動きもこれから興味のあるところであるが、
いつも犠牲になるのは、そう、消費者です。